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論文

A Significant role of non-thermal equilibrated electrons in the formation of deleterious complex DNA damage

甲斐 健師; 横谷 明徳*; 鵜飼 正敏*; 藤井 健太郎*; 樋川 智洋; 渡邊 立子*

Physical Chemistry Chemical Physics, 20(4), p.2838 - 2844, 2018/01

 被引用回数:22 パーセンタイル:75.15(Chemistry, Physical)

放射線生物影響を誘発する複雑DNA損傷はエネルギー付与率の高い放射線トラックエンドで生成されやすいと考えられている。そのDNA損傷を推定するために、電子線トラックエンドにおける水の放射線分解最初期過程について、計算シミュレーションに基づいた理論的研究を実施した結果から、1次電子線照射によりDNA鎖切断を含む複数の塩基損傷が1nm以内に密に生成され得ることが示された。この複雑DNA損傷は損傷除去修復が困難である。更に、その複雑損傷部位から数nm離れた位置に2次電子により塩基損傷が誘発されることが示された。この孤立塩基損傷部位は損傷除去修復が可能であり、結果として鎖切断に変換されるため、1次電子線により生成された鎖切断と合わせ、最終的にDNAの2本鎖切断が生成され得る。この2本鎖切断末端は塩基損傷を含むために修復効率が低下し、未修復・誤修復により染色体異常のような生物影響が誘発されることが推測された。

論文

Decomposition of 2-deoxy-$$D$$-ribose by irradiation with 0.6 keV electrons and by 0.5 keV ultrasoft X-rays

藤井 健太郎; 赤松 憲; 横谷 明徳

International Journal of Radiation Biology, 80(11-12), p.909 - 914, 2004/11

 被引用回数:9 パーセンタイル:52.68(Biology)

放射線のトラックエンドで生じる低エネルギー電子によって引き起こされるDNAダメージは、さまざまな過程を経て進むと考えられ、非常に複雑である。損傷を引き起こす線源として単色超軟X線を利用した内殻励起を用いることにより、このような複雑なプロセスをオージェ過程といった特定の過程を選択することが可能になる。本研究では軟X線及び低エネルギー電子線を照射することにより、2-deoxy-$$D$$-ribose分子の酸素K殻励起を行い、その後に生成する正イオンの脱離を四重極質量分析器によって観測した。それによると、538eVの軟X線照射によって、H$$^{+}$$,CH$$_{x}^{+}$$,C$$_{2}$$H$$_{x}^{+}$$,CO$$^{+}$$,CHO$$^{+}$$,CH$$_{2}$$OH$$^{+}$$及びC$$_{3}$$H$$_{x}$$O$$^{+}$$の脱離が観測された。一方、低エネルギー電子衝撃によって得られたマスパターンは、H$$^{+}$$イオン収量が比較的多い以外は、軟X線衝撃によって得られたスペクトルと良い一致を示した。両者の違いは軟X線と電子線の衝突モードの違いによるものと考えられる。このように、異なる線源による照射によって得られたデータを比較することによって、2-deoxy-$$D$$-riboseの分解を通して、DNA鎖切断や塩基損傷のメカニズムについてのディスカッションを行った。

論文

Performance of soft X-ray emission spectrometer employing charge-coupled device detector

佐々木 貞吉; 中岸 信彦*; 村松 康司*

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 467-468(Part.2), p.1489 - 1492, 2001/07

 被引用回数:3 パーセンタイル:28.27(Instruments & Instrumentation)

軟X線領域で高い検出効率をもつことが見いだされたCCDを、軟X線発光分光装置に取付け性能試験を行った。装置はローランド半径1m、マイクロスリット幅3.9$$mu$$m、グレーティングライン密度2400/mm、CCD位置分解能~24$$mu$$mであった。発光の励起源として1.5keV電子線を用い、遷移金属単体及び遷移金属酸化物からの発光スペクトルを測定した。スペクトルピークのライン幅を、ALSにおける放射光励起のデータと比較したところ、ほぼ同等のスペクトルであることがわかった。放射光励起と組合わせることにより、従来のMCPを採用した装置と同等もしくはそれ以上の性能が得られると期待される。

論文

植物の生育に対する低エネルギー電子線の照射効果

竹下 英文; Pham, T. L. H.*; 吉井 文男; 久米 民和

食品照射, 35(1-2), p.59 - 63, 2000/09

植物の生育を促進することは、食糧を増産する技術に繋がる。このような期待される方法の一つとして、放射線照射が試みられている。しかし、発芽率の増大や生育促進効果があるという報告も多数あるが、再現性の点で信頼に欠けるものが多かった。従来、照射には透過力の高い$$gamma$$線が用いられているため、刺激効果と同時に損傷が起こり、効果を不明確にしていると考えられる。そこで、植物本来の機能を損なうことなく植物体表面に刺激効果を与えるため、照射深度の調節が可能な低エネルギーの電子線を用いることを試みた。その結果、低エネルギー電子線照射(150-250keV)は、種子(ダイズ、トウモロコシ)の発芽及び生育を促進し、特に根の成長に顕著な効果があることがわかった。また、ダイズ種子に低エネルギー電子線を照射することによって、子葉におけるファイトアレキシンの誘導が促進された。

論文

Low energy electron beam treatment of VOCs

橋本 昭司; 箱田 照幸; 広田 耕一; 新井 英彦

Radiation Physics and Chemistry, 57(3-6), p.485 - 488, 2000/03

 被引用回数:26 パーセンタイル:82.67(Chemistry, Physical)

種々の工業プロセスから環境中に放出される有機物は環境汚染の観点から問題となっている。原研では揮発性有機物を含むガスに放射線照射して分解する技術の開発研究を行っている。本研究ではベンゼンやトルエン等の芳香族化合物並びにトリクロルエチレンやテトラクロルエチレン等のクロルエテンへの放射線照射効果を調べた。その結果、芳香族化合物では分解のG値が1~2であり、濃度減少分の30~60%がエアロゾルに変換されることを明らかにした。一方、クロルエテンの場合では、エアロゾルはほとんど生成しなかったが、分解のG値は芳香族化合物の数十から百倍も大きく、その値は処理濃度が高いほど大きくなった。

論文

Protein free vulcanized NR latex with low energy EB

幕内 恵三; 吉井 文男; F.Akhtar*; S.Varghese*; 勝村 傭介*

Proc. of 6th Int. Conf. on Radiation Curing (RadTech Asia'97), p.836 - 839, 1997/00

天然ゴムラテックス工業における低エネルギー電子加速器の利用の可能性について、(1)放射線加硫及び(2)表面改質の両面から検討した。(1)の放射線加硫では、かき混ぜ装置の付いた照射容器を用いることにより、従来は不可能と考えられていた天然ゴムラテックスの大量照射を可能にした。(2)の表面改質では、放射線加硫ラテックスフィルムに親水性モノマーを塗布し、電子線を照射することにより、親水性ハイドロゲルの薄膜をつくり、ゴム表面の粘着性を下げることができた。

論文

低エネルギー電子加速器による天然ゴムラテックスの放射線加硫

幕内 恵三; 吉井 文男; 武井 太郎*; 木下 忍*; F.Akhtar*

日本ゴム協会誌, 69(7), p.500 - 506, 1996/00

低エネルギー(175、250、300keV)電子線による天然ゴムラテックスの放射線加硫を行った。かき混ぜ装置の付いた反応槽方式と回転ドラム方式の2方式について比較した。反応槽方式は、エネルギー利用効率の点でドラム方式よりやや有利であった。一方、回転ドラム方式には、連続照射という特徴がある。反応槽の場合、かき混ぜが不十分であると、粒子間の橋かけ密度が不均一となり、物性低下となる。回転ドラム方式では、照射中に発生するオゾンの除去が必要である。

論文

Monte Carlo calculations of the behavior of 300keV electrons from accelerators

来島 利幸*; 中瀬 吉昭

Radiat. Meas., 26(2), p.159 - 168, 1996/00

 被引用回数:4 パーセンタイル:39.42(Nuclear Science & Technology)

パソコンレベルで、入射電子の単一散乱モデルに基づく挙動を計算できるモンテカルロコードを開発した。多層構造の物質に入射した300keV電子のエネルギースペクトル、角度分布、深部吸収線量分布を計算した。一部の計算結果については、実測値と比較しよい一致を確認した。試料を静止した状態で照射した場合と移動状態で照射した場合について比較し、基材の影響等を明らかにすることができた。

論文

Radiation vulcanization of NR latex with low energy electron beams

幕内 恵三; 吉井 文男; J.Gunewardena*

Radiation Physics and Chemistry, 46(4-6), p.979 - 982, 1995/00

 被引用回数:17 パーセンタイル:82.24(Chemistry, Physical)

300keV低エネルギー電子線による天然ゴムラテックスの放射線加硫のため、かき混ぜ装置の付いた照射容器を製作した。容器の直径は20cm、深さは17cmであった。容器上部に冷却槽の付いたビーム窓を固定した。窓の寸法は、10$$times$$10cmであった。かき混ぜ羽根は容器上部から斜めに装入した。回転速度は可変で、最大は280rpmであった。容器内に3.2lのラテックスを入れ、かき混ぜ速度やビーム電流を変化させて照射実験を行った。300keVの電子線のラテックス内透過は0.2mm程度であるが、照射中に適切に撹拌すると、本法のようなバッチ式照射でも、放射線加硫できることがわかった。しかし、撹拌中に泡が発生すると、放射線エネルギーが泡に吸収され、泡がパンケーキ状に同化することがあり、泡の発生抑制が重要であることがわかった。

論文

着色PVAフィルム線量計の150-300keV電子線線量測定への応用

W.H.Chung*; 小嶋 拓治; 岡本 次郎*

Radioisotopes, 43(5), p.278 - 282, 1994/05

メチレンブルー(MB)及びメチルオレンジ(MO)で着色した厚さ約20$$mu$$mのポリビニルアルコール(PVA)フィルムについて、低エネルギー電子線(150-300keV)に対する線量応答を調べるとともに、これらを用いた深度線量分布測定を行った。線量応答には、MB/PVA及びMO/PVA、それぞれ、波長662nm及び434nmにおけるピークの吸光度変化(減少)を用いた。線量応答曲線において、MB/PVAは約30Gyまで、MO/PVAは約300kGy以上まで良い直線性を示した。深度線量分布測定では、EDMULTコードによる計算結果との比較を行い、いずれのフィルムも比較的よく一致することを明らかにした。

論文

Depth-dose distributions in a thin-layer absorber irradiated by 300-keV electrons

来島 利幸*; 菅 博*; 中瀬 吉昭

Applied Radiation and Isotopes, 45(7), p.759 - 765, 1994/00

 被引用回数:2 パーセンタイル:28.09(Chemistry, Inorganic & Nuclear)

三醋酸セルローズ(CTA)薄膜に300keV電子線を照射した場合の深部吸収線量の計算値と実測値を比較した。試料を移動しながら照射する場合(動的照射)と移動しない場合(静的照射)の深部吸収線量分布を比較検討し、入射電子の角度が大きく影響することを明らかにした。基材による後方散乱電子の影響も本計算法(モンテカルロ法)でシミュレーションできること、さらに低線量率(低フラックス)電子線の場合に良好なシミュレーション結果が得られること、を明らかにした。

報告書

高崎研低エネルギー電子加速器(300kV,100mA)の仕様と運転特性

春山 保幸; 四本 圭一; 岡本 次郎

JAERI-M 93-114, 46 Pages, 1993/06

JAERI-M-93-114.pdf:1.45MB

高崎研究所の低エネルギー電子加速器は日新ハイボルテージ社製で、非走査型の低エネルギー電子加速器である。本装置は油封入式高電圧発生器部と中心軸に線状カソードを配置した円筒型の加速部及び照射用コンベアで構成される。高電圧発生器と加速部はケーブルで接続され、照射用コンベアを用いて不活性ガス雰囲気中でバッチ式の照射が行える。加速器の出力は300kV,100mAでビーム幅は60cmである。本報告では装置の仕様、運転手順及び運転特性について述べる。

論文

Immobilization of enzyme and antibody by low energy electron beam polymerization

嘉悦 勲; 熊倉 稔

Radiation Physics and Chemistry, 30(4), p.263 - 270, 1988/04

酸素・抗体などの緩衝水溶液とモノマーの混合物に近エネルギー電子線を照射することにより、薄膜状の固定化物が得られ、膜厚はエネルギーと透過深さで決り、膜を除去して照射をくり返すたびに同一膜厚、同一活性の固定化物が得られることが判った。

論文

低エネルギー電子線照射における線量評価の現状と問題点

須永 博美; 田中 隆一

放射線と産業, (37), p.29 - 34, 1987/00

最近の放射線プロセシングでは150~300kV程度の電圧で電子加速を行う。いわゆる低エネルギー電子加速器を用いたものの進展が目ざましい。放射線利用において共通基盤技術である吸収線量の評価法の現状および問題点について、この低エネルギー電子線の場合について述べる。低エネルギー電子線は飛程が短かく、線量の絶対測定が難しいということが線量評価における特徴であり、現状では、二次線量計である薄いプラスチックフィルム線量計により測定が行われている。また計算で線量を求める方法についても検討が進められている。線量評価における問題点としては、線量を試料の深さ方向のどの位置の値で示したらよいのか統一されていないこと、使用されている線量計に特性上の問題があることなどが挙げられる。線量の同一評価基準を確立するには評価法や線量計の校正法をマニュアル化することが有用と思われる。

口頭

電子線誘起極表層プラズマ反応場を利用した金ナノ粒子膜の生成

箱田 照幸; 高橋 絢香*; 島田 明彦; 山本 春也; 有谷 博文*; 八巻 徹也

no journal, , 

水溶液へ300keV以下の低エネルギー電子線を照射することで液表層にプラズマが形成され、それを反応場とした塩化白金酸イオンの還元によって白金ナノ粒子膜が生成する現象を見出した。本研究では、このプラズマ反応場の特徴を活かした貴金属ナノ粒子膜の作製指針を得るため、塩化金酸イオンを用いたときのナノ粒子膜生成について調べた。その結果、白金同様、金(Au)でも水溶液表面に膜状生成物が生じることを確認し、塩化金酸イオンと共存させるアルコールとしてエタノールよりも2-プロパノールの方がより均一粒径(5-20nm)で高密度な粒子膜を生成した。また、X線光電子分光分析により、粒子膜を構成しているAuの85%が金属Au(0)まで還元されていることがわかった。TiO$$_{2}$$基板に転写したAuナノ粒子膜を200$$^{circ}$$Cに加熱しながら1000ppmの一酸化炭素を含む空気を流通すると二酸化炭素の生成が見られたことから、その触媒作用が確認できた。以上の結果から、電子線誘起の極表層プラズマ反応場を用いた新たな触媒作製技術の可能性を拓いた。

口頭

凝縮相における低エネルギー電子の微視的放射線作用の研究; 電子輸送計算法の開発

甲斐 健師; 小川 達彦; 安部 晋一郎; 佐藤 達彦

no journal, , 

ナノスケールの微視的な空間領域で誘発される放射線作用の研究では、1keV以下の低エネルギー電子による挙動やエネルギー付与を解明することが重要となる。しかしながら、現状の放射線挙動計算コードは、このような低エネルギー電子の物質中における挙動を正確に模擬することができない。そこで、この課題を解決するため、飛跡構造コードの開発を進め、PHITSコードへの実装を計画している。開発した飛跡構造コードを利用し、水中における低エネルギー電子の微視的挙動について計算した結果、従来予測と異なり、電子の熱化は水和前電子生成と同時に進行することを理論的に予測することができた。本講演では、飛跡構造コードを用いた研究成果とともに、PHITSへの実装や機能の拡張等の今後の展望を報告する。

口頭

動的モンテカルロ法を用いた凝縮相における低速電子の微視的挙動

甲斐 健師

no journal, , 

PHITS等の放射線輸送計算コードは低速電子の微視的挙動を模擬できないため、ナノスケールの放射線作用が解析困難である。そこで、それらを計算可能にする動的モンテカルロコードを開発している。本講演では、本計算コードで利用している水の電子衝突断面積の計算法や電子の動的挙動計算法について説明する。本計算コードを利用した結果として、水中における1次電子線輸送計算及び低速2次電子の減速過程についての結果を示す。その計算結果を基にDNA損傷推定を実施したところ、細胞死や染色体異常のような放射線生物影響が誘発されると考えられる新たな複雑DNA損傷機構が見出された。これらの研究成果の他、本計算コードのPHITSへの実装、今後の拡張計画を報告する。

口頭

低エネルギー電子による水の放射線分解最初期過程の基礎研究

甲斐 健師

no journal, , 

PHITS等の放射線輸送計算コードは生体中のエネルギー付与が計算できるが、低エネルギー電子の微視的挙動を模擬できないため、ナノスケールの放射線作用の解析が困難である。そこで、1keV未満の電子の水中における衝突断面積の計算法や電子の動的挙動計算法を導入し、ナノスケールの放射線作用を計算できるコードの開発を進めた。このコードを利用することで、水中における1次電子線輸送計算及び低エネルギー2次電子の減速過程をナノスケールで計算することができた。さらに、この計算結果に基づき、DNA損傷を推定し、細胞死や染色体異常のような放射線生物影響が誘発されると考えられる新たな複雑DNA損傷機構を見出した。本コードはPHITSへ実装され、今後も機能を拡張していく予定である。

口頭

PHITSにおける低エネルギー電子の飛跡構造計算機能の開発

甲斐 健師; 小川 達彦; 安部 晋一郎; 佐藤 達彦

no journal, , 

粒子・重イオン輸送計算コードPHITSは、任意の三次元体系中における放射線挙動を模擬することが可能で、様々な研究分野で幅広く利用されている。しかしながら、従来のPHITSでは、1keV以下の低エネルギー電子を計算しないため、ナノスケールの放射線作用を対象とする研究への適用ができなかった。この問題を解決するために、別途開発していた飛跡構造計算コードの計算機能を平成29年6月に公開したPHITS Ver2.93へ実装した。これにより、PHITSで水中における低エネルギー電子のナノスケールでの局所的なエネルギー付与が計算可能になった。そのため、DNA損傷のような分子レベルのミクロなエネルギー付与を対象とした研究等への様々な応用が期待される。

口頭

水中でエネルギー付与された電子の動的挙動

甲斐 健師; 樋川 智洋; 鵜飼 正敏*; 藤井 健太郎*; 渡邊 立子*; 横谷 明徳*

no journal, , 

放射線やレーザー照射による水の放射線分解の基礎研究は、原子力産業に関与した研究分野に適用され、更に、細胞内における放射線DNA損傷を理解する上でも非常に役立つ基礎知見を与える。そこで、水中で発生した電子の動的挙動をシミュレートするコードを開発し、これを用いた理論的研究を実施した。電子の空間確率分布を計算した結果、電子の空間確率分布の関数型は付与されるエネルギーに依存し、指数関数型とガウス型で概ね再現されることを示した。エネルギー確率分布の時間発展にも注目すると、100meV以下の成分はMaxwell分布に漸近する一方、それ以上のエネルギー成分は親カチオンのクーロン場の影響により時間にあまり依存しないことを示した。これらの成果は放射線物理と放射線化学を結ぶ重要な知見となる。

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